イナゴ

□初めて会った時、君は僕より年下だった
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木漏れ日に照らされて、その眩しさで僕は眠りから目覚めた
目を開けると、見知らぬ子供が僕の顔を覗き込んでいた
「お姉さん、誰?」
その子供は白い髪をしていて、また透き通るような白い肌をしていた
その容姿には目立つ紅の瞳が僕をみていた
「……」
低血圧の僕には彼の声は聞こえていなかった
ボッーと曖昧な意識が復活するまで目の前の彼の顔を見ていた
彼も僕の顔をみていた
段々僕の意識も復活してきたころ、何の反応も示さない彼は勝手に自己紹介を始めた
「俺は白竜!究極を目指してるんだ!」
「へぇ、究極に…」
僕は上半身を起こして、彼を抱き上げた
自分の足…というか太股に彼を座らせ、頭を撫でる
彼は…白竜は気持ちよさそうに目を瞑った
「僕はシュウ そうだな…僕も白竜と一緒 究極を目指してるんだ」
「お姉さんも?」
「うん」
「でも、究極は一人しかなれないんだぞ!」
白竜は人差し指を立てた
「そうかぁ じゃあ競争だね 僕と白竜、どっちが最初に究極になれるかな?」



その日から白竜は僕の後ろを歩く様になった
僕を見つけるとひょこひょこをついてきた
10歳だと白竜は言っていたが、10歳とは思えないほどの人懐っこさ
サッカーをするのも、白竜が必ず一緒にいた


僕がまた木の幹に寄りかかって寝ようとするころ
白竜が来た
いつも白竜は僕の足に座ってくる
お蔭で立つときちょっと痛い
「シュウ!シュウ!」
「何?」
「俺、おっきくなったらシュウをお嫁さんにしてやるからな!」
突然の告白を驚いたが僕は「そっか 楽しみだなぁ」と言ってやった






という昔の事を僕は脳裏に思い浮かべていた
「シュウ」
「あ、白竜 練習終わったんだ?」
「ああ」
あの頃から随分と成長したと思う
「そんな白竜にはいいこいいこしてあげなきゃねぇ」
あの頃と同じように頭を撫でてあげたのに、白竜は顔を赤くして「やめろ」と言った
流石、思春期 昔のようにはいかない
「そういえば シュウは昔初めて会ったときとあまり変わらないな」
「?そうかな?」
「考え過ぎだよ」
また昔のように抱きついたら思いっきりはがされた
ちょっと心に傷がつく
「白竜 大きくなったら何になりたい?」
「は?大きく?何子供のような事言ってるんだ  勿論、俺は究極になるんだがな」
シュウのお婿さんじゃないんだ
「僕のお婿さんじゃないの?」
「は、はぁ!?な、なに言ってるんだ!」
「だって昔…」
「む、昔の事はいい!!」
可愛いな 可愛いな
僕、いつ消えるか分かんないからな
目一杯可愛がってやんなきゃな!

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