ごった煮

□絵画の価値
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「………」


あれ?不機嫌になっちゃったかな?…


「あの…はじm「嫌だ」…え?」


「…一人は…嫌だ」


オモチャを没収された犬のように
はじめはシュンとしてしまいました

どうやら彼は
"綺麗"のワードよりも"一人"の方で
機嫌を損ねてしまったらしいのです


─つまり、自分"一人"でなく
彼と私の"二人"がいいということなのか


恐る恐る聞いてみたら
はじめは顔をほんのり染めて頷きました


「そうしたら…名が描かれているなら
名だけでなく俺も
その絵が美しいと思うし、
ずっと、大事にしたいと思える」


口下手な彼が一生懸命言葉を選んで
私に話してくれた…
それだけで自然と笑みが浮かぶ
多分これを言ったら
また照れてしまうだろうから
ありがとうは心中で伝えることにしました


「はじめと私の絵画、かぁ…
どれくらいの価値になるんだろ
ちょっと気になるね?」


彼は少し考える顔をしてこう言うのです


「価値は俺には分からない…だが
どんなに大金でも必ず手に入れる。
名と俺の絵は
ただの"絵画"などではなく
"思い出"の一つになるだろうから…」


彼は目を細めて微笑みながら
また桜の木を見上げてしまいました…



絵画の価値
33億より大切で価値のあるものになるんだね



20110811

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