ごった煮
□優しい時間
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次の瞬間、名の頭が自分の肩に
寄りかかってきた
異変を感じて顔を覗いてみると
頬がほんのり赤くなっている
―酔ってしまったのか
どうやら斎藤がいろいろ考えているうちに
彼女の酒が進んでしまったらしい
「…大好きなんです、だから」
「………名」
「…斎藤さんを信じているから……
すごく、いっぱい、幸せなんです」
「………」
「…私の幸せは斎藤さんの隣に
いられることなんです」
「…そうか。俺も、だ」
名を優しく抱き締めると
顔は見えないが
彼女はふわりと笑った気がした
一手取られたなと思っていると
彼女の重みが増した気がした
「……名?」
「………」
耳をすますと小さな寝息が聞こえる
聞こえないだろうが、いや、
聞こえないからこそ言いたくなった
「俺の幸せはあんたの幸せだ」
─かすかに彼女が微笑んだ気がした
◎優しい時間
一緒にいてくれてありがとう
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