蜜雨

□06:夢でいて
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「…緋那は雪村のことをどう思っている?」


彼女に気付かれないように
さらりと質問を質問で返す


「千鶴ちゃんのこと?
優しいし、細かいとこに気付けるし、
なにより女友達って私少ないから
毎日がすごく楽しいよ。大好きなんだ。
でね、この前面白いことが
あったんだけど…」


緋那は笑顔でそう言った
本当に雪村といるのは楽しいらしい

だからこそ、雪村を少しでも
自由にさせてあげたいんだろう

出来ないこともないが、俺も出来るだけ
土方さんに言ってみよう、

と思っていると


「…ねぇ、はじ」
「緋那ちゃーん、さっき、
千鶴ちゃんが呼んでたよ?
相手になってあげれば?」


緋那の言葉と同時に
襖からひょっこりと出して
そう言ったのは総司だった


「本当!?急がなくちゃ!!」


不安に包まれた瞳が一瞬にして消え、
雪村のことで頭がいっぱいになった彼女は
すぐに立ち上がり、バタバタと
自室に戻っていった


「……盗み聞きか、総司」


書類を書き上げながらそう聞くと
彼は襖に体を預けつつ、口を開いた


「いやだなぁ、これでも
助けてあげたんだけど?
僕が話しかけなきゃ緋那ちゃんは
絶対聞いてきたよ?

…『何を隠してるの?』って」


「………」



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