ごった煮

□いちごみるく
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「………トシ?」


ゆっくりドアを開けると彼は静かに寝息をたてていた
仕事が立て込んでいたのだろうか、部屋の電気も付けっぱなしで、私が近くによっても目を覚まそうとしない


「…頑張りすぎ、ばーか」


そう言って私は彼の頭を撫でた

ちょっと目を離すとすぐ無理しちゃって…心配する身にもなれっての

私が無理したらすごく怒るのに
なんだか、狡いよ…


…そんな彼を困らせてしまいたいと思ったのがつい最近


「…よし」


私は作戦開始の言葉を胸中で高らかにかかげ、左手に隠していたものを出し、彼にそれを装着する

記念撮影して…


─カシャッ


「wwwww」


はい、ミッションクリア!


…まずは沖田に送ってこの画像を拡散
次に斎藤と山崎に送って土方主義の撤回
近藤さんにも送ってドン引きしてもらお


よし、携帯…あれ?携帯どこ…?


「"削除しました"」


「あああああああー!!
トシ!何してんの!」


「うるせぇ!てめぇ、俺の頭に猫耳つけたと思いきや写メまで撮りやがって!ちょっと前の優しげキャラはどこ行った!連れ戻してこい!」


「なんと」


私は両手でトシの頬を包み込む
おでことおでこをくっつけて微笑んだ


「どんな私も好きなんじゃないの?」


「………」


「……とし、私嫌い?」


「なわけねぇだろ」


「好き?」


「…っあぁ」


あっ、ちょっと顔が赤くなった
本当に可愛いなぁ

ふふふ


「私もね、大好き!」


私が抱きしめると
トシも抱きしめ返してくれる
大きな手で私の体を包んでくれる


愛されてるって感じられる


「そんなトシちゃんに頼みたいことがあります」


「あ?」


「頼まれてくれます?」


「そりゃ何だ?」


「まだ言えなーい」


「……他をあたれ」


「やだ」


「斎藤あたりなら快く引き受けるだろ」


「…やだ」


トシじゃないとダメなの

それが伝わってほしくて彼の洋服をつかんだ


「………何をすりゃいいんだ?」


怪しいと疑うような視線を送ってくる彼

そんな顔されるとこっちだって不安になるじゃん…


「…ま………して…」


思った以上に口がもごもごしてしまった

ダメだよ、これじゃ伝わらない…!


「…聞こえない」


意を決して思いを口にする





「…ま、ま、マーキングを…して?」





「…………………」


「…やっぱり、ダメだった?
でも斎藤に頼むのはやだからね」


すると急に私の腕が引っ張られる

小さな悲鳴をあげたときには私は彼の腕の中で向かい合うように閉じ込められていた


「…いくつ付けてほしいんだ」


「分かんない…とりあえず一つ?」


「それだけでいいのか」


「うん、」


「…わかった」



いちごみるく
幸せが二人を甘く仕立てる



20120219

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