ごった煮
□嘘、元気なわけない
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教室から眺める大空は
秋の鮮やかな景色を
より美しく引き出していて
…なのに少しだけ胸が痛む
「おーい、名。
俺の授業聞いてたかー?
次の段落読んでくれ」
いつの間にか原田先生の授業を
上の空で聞いてしまっていて
それに気付いたのか
音読を指名されてしまった
「っはい!!…すみません…
『心の発達は身体の成長と共に……」
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「…名…?」
「……ほ?」
はじめから話しかけられても
まだ上の空な自分だった…
彼は一つため息をついたあと
「…今週末、暇か?
贈り物を買いたいのだが
女性の意見も欲しいのだ…
もし暇だったら一緒に買い物に
ついてきてくれないか?」
「行きたい行きたい!!はじめが贈り物!?
ついに出来たんだね!?
恋慕う女が!!あ、恋ひ慕う女!?
おめでとう!!…でも、」
「…何か問題でもあるのか」
「私…はじめの好きな人の
指輪のサイズ知らないよ?」
「…!!!何の話だ!!
もう、いい。正直に話す」
女の子は恋愛話になると
スイッチが入るのはこのことだろう
心に引っ掛かるあれはすでに
彼女の頭の中から抜け落ちていた
「お前の誕生日が近いだろう
いつも世話になっている名に
何かしてあげればと…思った、の、だ」
はじめは少し頬を染めて
語尾が小さくなる姿が可愛くて
「はじめ…そっか。うん。
ありがとうすごく嬉しい!!」
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