ごった煮
□運休列車
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─おはようございます
7:08分発の**行きの電車ですが
信号機故障のため
##駅で運転を見合せています
この後に来る7:56の電車にお乗りください
この放送で連絡を取り合う者、
車で通勤通学しようとする者、
いつも以上のざわめきを纏う駅で
彼女は平然と次に来る電車を待っていた
…学校に遅刻できてラッキー、と
心底喜んでいるのを
顔に出さなかっただけだが。
「………」
カチカチ、とメールを打つ
送信相手は愛しの彼氏さん
題:おはよ
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今日、電車遅れるみたい
なんか学校行くの萎えた
電車のせいだからね!?
…ねぇ、迎えに来て?
お願い
名
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受信直後このメールを見、
はぁ、と盛大なため息をついたのは
名の彼氏、
土方歳三もとい、土方先生である
─不運にも彼はすでに学校にいたのだ
「…ったく、どうすりゃいいんだよ」
と頭をがしがしとかき回す
彼はすでに学校、彼女の最寄り駅も遠い
つまり一回学校から出てしまえば
再び学校に着くには遅刻するという
はたから見れば訳の分からない
行為をするのと同じだった
自分は学校の先生、
そして迎えに行く自分の彼女は
この学校の生徒ときた
「……」
考えろ、俺。
朝っぱらから脳みそフル回転で考える
ついでに情けないことだが
名に反発が出来ない
─最近はテスト作成やらなんやらで
お互いに連絡の取り合いを
遠慮し合っていた
ここでNOと言えば
今まで繋いできたものが
大きな音をたてて崩れるだろう
…世に言う"我慢の限界"だ
「…あれ?土方先生、
迎えに行かないんですか?」
.