ごった煮

□運休列車
1ページ/2ページ



─おはようございます
 7:08分発の**行きの電車ですが
 信号機故障のため
 ##駅で運転を見合せています 
 この後に来る7:56の電車にお乗りください


この放送で連絡を取り合う者、
車で通勤通学しようとする者、
いつも以上のざわめきを纏う駅で

彼女は平然と次に来る電車を待っていた
…学校に遅刻できてラッキー、と
心底喜んでいるのを
顔に出さなかっただけだが。


「………」


カチカチ、とメールを打つ
送信相手は愛しの彼氏さん

題:おはよ
-----------------

今日、電車遅れるみたい

なんか学校行くの萎えた
電車のせいだからね!?


…ねぇ、迎えに来て?

お願い

-------END-------


受信直後このメールを見、
はぁ、と盛大なため息をついたのは
名の彼氏、
土方歳三もとい、土方先生である


─不運にも彼はすでに学校にいたのだ


「…ったく、どうすりゃいいんだよ」


と頭をがしがしとかき回す


彼はすでに学校、彼女の最寄り駅も遠い
つまり一回学校から出てしまえば
再び学校に着くには遅刻するという
はたから見れば訳の分からない
行為をするのと同じだった

自分は学校の先生、
そして迎えに行く自分の彼女は
この学校の生徒ときた


「……」


考えろ、俺。
朝っぱらから脳みそフル回転で考える

ついでに情けないことだが
名に反発が出来ない

─最近はテスト作成やらなんやらで
お互いに連絡の取り合いを
遠慮し合っていた

ここでNOと言えば
今まで繋いできたものが
大きな音をたてて崩れるだろう
…世に言う"我慢の限界"だ


「…あれ?土方先生、
迎えに行かないんですか?」




.

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ