蜜雨

□06:夢でいて
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ごりゅごりゅごりゅごりゅごりゅ


「…緋那、それは本当に団子なのか?」


「…ごりゅ(うん)
ごりゅごりゅごりゅごりゅ?
(はじめも食べる?)」


「………遠慮する」


どうしたらそんな音が出るのか分からない
お団子を美味しそうに食べる緋那


「ごりゅごりゅごりゅごりゅごりゅ
(島田さんにもあげようかな)
ごりゅごりゅごりゅ
(このお団子)」


「いい加減"ごりゅ"で喋るのは止めろ
団子だって食べ終わっているのだろう」


はーい、と返事をした彼女は
俺の自室でごろごろしだした


「…ねぇ、はじめ」


俺に背を向けた状態で
ゆっくりと話しかけてきた


「何だ」


「…千鶴ちゃん、いつになったら
解放してあげるの?
千鶴ちゃんは辛くないって言ってるけど
……私が、辛い。
これから一緒に住むって聞いたけど
どうして閉じ込めておくの?」


それは羅刹と言う存在を、
世間に公表してはならないものを、
結果的に知ってしまったからだ…
雪村に詳しい説明は何一つしてないが。

そう説明しようとしたが
俺はあることを思い出した


…………


…そうだ、緋那は



羅刹の存在を、知らない─…



今まで幹部と共にいたためか
緋那の扱いを幹部同様、
つまり俺が知る新選組内の情報量と
彼女の知る情報量が同じだと錯覚していた

だが、隊長でもなく、
雪村のように特別な理由がない彼女には
羅刹の存在など知る必要がない

それに、これは幕命でもある
知られてはならないのだ

いや、…俺個人だと、
知ってほしく、ないのが本音

それは他の幹部も
そう思っているかもしれない…



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