蜜雨

□05:聖なる蜜
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─二人が出張から帰ってくると
私は山南さんの元へ足を運んだ


「山南さん!!」


「…あぁ、緋那さんですか
どうかしましたか」


「あ、あの…腕…」


「あぁ、ご心配をおかけしました」


そう言って微笑んでいる彼
それでも何となくそれは悲しげで
私の心はきりきりと痛む


「そうじゃなくて!!
…大切な仲間だから、せめて
心配はさせてください
あと…また、お話聞かせてください」


「!…はい、私も楽しみにしていますね」


少し驚いた山南さんは
いつもみたいな優しい微笑みになる

─山南さんはなんでも知っている
だから私は山南さんと、時々、
縁側でお話をしたりする

それは近所のうわさから始まり、
日本の歴史など様々だ

今まで剣一筋な私にとって
山南さんの話にはいつも驚かされている

だから小さなことにも気付けるような
山南さんは尊敬出来るし、大好きだ


「……緋那さん」


「なんですか?」


「ありがとう」


彼の表情はとてもとても綺麗で
息をするのも忘れてしまうほどだった


「っはい!!あ、私、
そろそろ稽古行ってきますね!!」


よかった、よかった、
私は気分良く道場まで走り出した


それを見ていた暖かい瞳が
一気に色を失い、つぶやく


「緋那さん、あなたと、
またお話が出来る日は、…」


そう言いかけて彼は瞳を閉じ
自室へと戻っていくのだった…



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