蜜雨
□04:口ずさみ
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「……え、あの子、誰?」
「…あぁ、雪村千鶴だ
しばらくの間ここにいるからよろしくな」
「…お、おう」
髪を高く結い上げ、桃色の袴を身につけ
なんだかふわふわして女の子のような
雪村千鶴さん…
「ちょっと待てよ、鬼」
「…緋那、誰が鬼だって?」
鬼─もとい土方さんは本当に頭に角を
出しながらこちらを振り返る
「なんで雪村さんと同室なの!?
自己紹介だってまだなのに!!
部屋の片付けだってまだなのに!!
お茶出しだってまだなのに!!
なんで見ず知らずの男の人と
これから過ごさなきゃならないの!?」
「あぁ…うるせ」
「ちゃんと説明してよ…」
「考えりゃ分かんだろ……あいつは女だ」
「……ほんとに?え、なんでここに?」
「理由は言えねえ。ただ、
これからしばらくここにいるのは確かだ。
挨拶にでも行ってこい」
千鶴にはお前が女だってこと
言っといてあるから、と
そう言って土方さんは気だるそうに
自室へと戻っていった…
「(お、女の子…!!)」
"男所帯である屯所に女の子が来た"
それは緋那にとって
とても心強いものとなった
「(お友達になりたい!!)」
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