Give&Take
□G:無言
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「……」
「………ごめん、藍ちゃん」
「…………」
─今宵の月は限りなく細く、
さらに雲も少々ばかりあるからか
相手の表情を見ることが出来ない
だから、新八さんのお顔が
見ることが出来ない
(その方が好都合…なのかもしれない)
「確かに、俺は
藍ちゃんを守るって約束した
…幸せにするって、誓った…だけど」
「もう、いい。わかった
…わかってる…新撰組があってこそ、
今の新八さんがあるってこと。
…私には新撰組から新八さんを
奪えることなんて、出来ない」
「…藍ちゃん」
─京であった戦い、のちに
鳥羽伏見の戦いで優勢のとれなかった
旧幕府軍は一度江戸に戻りそこで
兵を挙げ新政府軍を倒す…
そして江戸に向かう前日、新八は
自分の愛する者へと足を運んでいた
…自分の本当の気持ちを胸に抱きながら
─一方、彼女の方はというと
戦で新八が無理をして怪我をしてないか
心配でたまらなかった
毎日、何をしていてもどこにいても
彼のことばかり頭に浮かんできて
最近はご贔屓にしてくれてる方からも
心配をかける始末だ
その彼が戦いの合間をぬって
私の元へやってきて
─「別れ」を、告げに来た…
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