中編

□love,love,love!
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「なぁ、菊花、お前最近様子変じゃないか?」
仕事の同僚がそう言った。
整った顔立ちで仕事も出来るし気遣いも出来る人だ。
友人が騒ぐのも頷ける。そう、素敵な人だと思う。

「…あのね、瑞希」
言おうか言わまいか、少しだけ迷う。
少しだけ、だ。言いたいという欲求に負け私は声を潜めて彼に言った。

「私、今同棲してるの」
彼から驚きの声が上がった。
そして次に、彼氏居たのか、と。
戸惑いに戸惑い戸惑って。曖昧に言葉を濁しながら答える。
それに何故だか納得した瑞希は笑った。
疑うことがないというか…よくもそんなので今まで生きてこられた物だ。

「菊花が幸せならいいよ、ね。うん」
そしてその後自身の仕事へ戻りながら彼はうちの妹も…とごにょごにょ呟いていた。
そうか、彼、妹さんいるんだったっけ。シスコンっぽそうだよね。
だから彼女できないのかな。彼と付き合いたいって人はたくさんいるのに。

思考に一区切りついた所で私も自分の仕事へと戻った。
早く帰ってあげよう。彼も1人じゃ寂しいだろうし。


「おかえりなさい」
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