中編
□C
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「菊花、私のものになってくれないなら…」
私が最後に手を伸ばしたのはどうして?
私は一体何に手を伸ばしたんだろう?
「私、死ぬの?」
あの世界で私に未練を残させたのはなんだっただろうか。
何百年も昔の事を思い出すのはとても難しい事らしい。
「貴方ってとても暇な人ね」
どんなに私が嫌がってもトム・リドルは毎日私に会いに来る。
理由を問えばいつでも好きだから、なんて言ってるけど。
「もうすぐここを卒業するなら勉学に励むべきだと思うわ」
そんな彼も最終学年を迎えてもうすぐホグワーツを卒業する。
いつだか話に聞いたのを思い出せばとても彼は優秀らしい。
だからってそれを鼻にかけてるのはどうかと思う。
「もうすぐここを卒業するから菊花と一緒にいたいんだよ」
そう言って彼は私の手に触れようとした。
けれど通り抜けた彼の手はとても寂しそうだ。
「会えなくなるんだね」
私はゴーストだから。もう死んでいるから。
とてもとても冷たいはずなのに。
彼は寂しそうなまま私に触れれなかった手を宙に浮かせている。
「そうね」