中編

□A
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「どうしてヘルガ。ああ、何故なの。私が悪いの?」
「ロウェナ、落ち着いて。誰も貴方を責めてないわ」
「でも、どうして?何故なのヘルガ?何度やっても駄目だわ」

優しげな声と母の悲痛な声。

「ねぇ、ロウェナ…」
「何度やっても結局同じ事にしかならない。何度やり直しても…何度も何度も…」
「ロウェナ、それは貴方の頭の中の出来事でしょう?お願い…現実を見てよ」
「貴方もくだらないって言うの?馬鹿げてるって笑うの?どうして?」
「ああ、落ち着いてちょうだいロウェナ…」
「貴方だって何も出来なかったのに!ああ、そうだわヘルガ、貴方が全部悪いのよ!」

がしゃん、と何かが割れる音がする。
母が泣きながら訳の分からない事を叫ぶ。
遠い私の部屋にまで聞こえるうるさい声。

「お願いだから出て行って!」
また来るわ、と小さな寂しそうな声が聞こえた。
扉が閉じる前に母は叫ぶ。また何かが割れた。

「もう二度と来ないで!貴方なんて大嫌いだわ!」

母にそう言われてもヘルガ・ハッフルパフは何度も私の家を訪れた。
それは多分きっと彼女が母の友達だからだろう。

ロウェナ・レイブンクローの。
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