中編

□ご
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「何処へ行くの?」
何日も考え込んで。
食事もしてなければ睡眠もろくにしてない。
何度も従姉さんや母さんから心配される声がかかった。
それでも何日も部屋にこもって考えて悩んで。
ようやく決めた事に僕はひどく怯えて怖がっている臆病者だ。

「…分からないの?」
真夜中。家を出る前に菊花が問いかけてきた。
もうすぐ新学期が始まる彼女は僕に嫌悪感を抱いているものの変わらず兄の部屋にいる。
む、と表情を変えた彼女はそっぽを向いた。

「ああ、そう、今日も人を殺すのね。それしか娯楽がないんでしょ。
一体いつの時代の話かしら。手足を切り落として酒の入った樽にぶち込むの?」
クリーチャーのことがあってから彼女はいつもこの調子だ。
ただそれでも僕に声をかけてくると言う事は気にかけている、と思って良いんだろう。

「…そうだね、そんな感じ」
そして菊花は言い返さない僕を睨む。いつものように。

「クリーチャーを連れて行かないで」
僕が家を出ようとしたまさにその瞬間に彼女は言った。
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