中編

□よん
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「レギュラス!何をやっているの!」
多分菊花と同じくらいの男の子。

僕と杖を向け合っているのはそのくらいの少年だ。
荒く短い息を何度もつきながら怪我をした腕を庇ってる。
僕と同じ灰色の瞳に涙が浮かんでいたけど零れない。

「殺すなら殺せ!死ぬのが怖いもんか!」
彼らは騎士団だったか闇払いの関係だったか。
何だか覚えてないけど僕らと対立する側の子供だ。
台詞とは反対に彼はがくがくと震えていた。
今にも杖が落ちそうだけど涙は零れない。

従姉さんが言う事は分かる。彼は敵だ。殺さなくちゃ。
子供だって魔法を使えるんだから。十分脅威になるんだから。
そして僕が今彼と向き合って一番近いんだから。

まだ幼さの残る声が響く。
赤い閃光が見えたと思ったら突き飛ばされて。
緑色の閃光が少年の体に当たった。ぐらりと揺れて彼は倒れる。
雫がいくつか零れていたが彼はもう震えもしなかった。

「…殺されるつもりだったのかレギュラス」
静かな声が僕へと向けられた。
学生時代からの先輩だ。ふるふると首を横に振った時に彼はもう僕を見てなかった。
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