中編

□さん
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一週間も経つと菊花は家にも慣れて僕らにも慣れたみたいだ。
一番彼女と親しいのは僕ではなくクリーチャーなのだけれど。

まぁ、とりあえずは…卑怯者だとか嘘つきだとか騙されただとか殺してくれだとか。
そんな事を言われなくなってよかったと思ってる。
それでもまだ恨みがましい目で見られる事は多々あるが。

「君は魔法を使えるの?」
「使えるに決まってるでしょう」
ふん、と僕から顔を背け彼女は杖を出した。
何だ、杖を持っていたのか…この七日間一度も見てなかったけど。
純血ですからね、と嫌味たらしく彼女は言った。
…上手い嫌味だと思う。上手すぎて笑ってしまいそうだ。

「学校…ホグワーツには?」
「入学許可書は来たけど行ってない」

…溜息を、ついた。
確かに行かない子だっている。
行く事だけが正しい訳じゃないけど。
…行かないのが正しい訳じゃなくて。

「普通の知識はあるみたいだし、きっと三年生くらいから編入させてもらえるだろうから…」
「何よ!勝手に決めないでってば!それに、一体誰がお金を出すのよ!」
がっと彼女が僕のベッドの柱を掴む。
少し緩んでいた柱なので止めて欲しい。
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