中編

□03
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「最近、リドルさん表情が柔らかい気がする」
そう言うのは例の如くオリオンだ。
親しくなった覚えは特にないけれど何故かこいつは私の傍にいる。
婚約者である少女から痛い視線が刺さるのだけれど彼は知らん振り中だ。

「なんやかんや言って彼も16歳の子供でしょう」
ぺらぺらと本をめくる。
私が生きていた頃にはなかった本。けれど、大したことはかかれてない。
隣で不機嫌そうにそうだね、とオリオンが返事をしている。
どうでもいいけど彼は私が好きなのだろうか。
かなりどうでもいい。どうなったって知らん。
尻が痛くなってきた。立ち上がって本を置く。

「…どうしたの突然」
「尻が痛い。あー痛い」
ソファが硬いせいだ。もっとふっかふかのを頼むべきだ。
そうだ、ふっかふかのふっかふっかだ。

…私の寮にももっと変化をもたらせるべきだ。
暖炉の火をもっと綺麗に色とりどりにするとか。
もっと優しくて温かい色をモチーフにするとか。
今までの暗いイメージを取り払う何かが必要だ!

ふぅ、と息をついた所でソファにはもうオリオンの姿はなかった。
ヴァルブルガに引っ張られている。じっとそっちを見ていたせいか彼らと目が合った。
オリオンが微笑んで手を振るのに対してヴァルブルガはぎろりと私を睨みつけていた。

…傍から見ていれば女の子の嫉妬も可愛い気がする。
あの綺麗な顔が歪むのは見ていて中々気持ちいい。
あ、この捻くれた考えが駄目なのか。もっと明るくしなければ。
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