短編

□手紙
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今日デスイーターを殺した。
私が殺されそうになった。だから先に殺した。

同じ騎士団員の彼が言う。
よくやった、よく戦ったと。
私に笑いかけて褒めて称えた。
もう動かなくなった人の死体を前に。

騎士団は正義なんだろうか。
例のあの人は悪なんだろうか。
それって本当に正しいんだろうか。
ぽつんと心の中に現れた疑問は消えない。
消えてくれない。大きくなっていく。

デスイーターに好きな人がいる。
何度か戦いの中で顔を合わせた。
戦ってはいない。彼は私と戦わない。

好きだと伝えることはないと思った。
伝えようとはどうも思わなかった。
生きている内に、の話だが。

彼に手紙を書いた。
私自身が渡すつもりは無い手紙を。
自分のボキャブラリーの無さにちょっと呆れた。

あの日仲間の笑顔を前に現れた疑問は消えない。

何が正義とか悪だとか、論点を変えれば切り替わってしまう。
自分が信じたものが自分自身にとって正しいのだと思う。
他人の意見に動かされたりしちゃいけないんだ。多分。

生まれてからさほど長くなかった人生に幕を下ろそうと思う。
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