短編

□靴
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「(あ)」

靴が脱げた。
吹っ飛んだ。靴の裏が見えてる。
多分、きっと明日は雨。
ほとんど城内にいるからあんまり関係ないけどね。

とんとん。
片足で脱げた靴の傍まで進んでいく。
裏返しの靴を足で表に返してそのまま突っ込む。

2日目だ。
左右違うサイズの靴に足突っ込むのは。
気づいたのは昨日の夜。ベッドに入る前。
よく見たら右足の靴でかくね?となった訳だ。
いつからか、正確には分からないけど多分今日が2日目。

察するに私の靴より一回り大きいので…男子だ。
性別が分かったところでこの学校の生徒が何百人いるのやら。
相手の寮も年も分からないので困った、困った。
普通に考えれば同じ年で同じ寮、スリザリンだと思うけど。
勝手に決め付けてもし違ったら困るので。

そして多分、多分男子でスリザリンで同じ年であろうその人は。
一回り小さい私の靴のかかとを踏み潰して今日もホグワーツ城内を歩いてるんだろう。

「(すぐに、)」
見つかると思ったのに。
左右違うサイズの靴をはいた2日目はもう終わる。
サイズの違いくらい、魔法でどうにかなるだろう。
でも、相手の持ち主の事を考えると勝手に変えるのもどうなのか、って。

困ってるよなぁ…。
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