短編

□うそつき
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「教科書、探してくれませんか」
私の可愛い後輩、レギュラス・ブラック。
何となく不安そうに、ああ、いや、泣きそうな位に。
私を見上げて縋る姿は子犬のようで。
一体誰が断れるって言うんだろう。

「見つからないねぇ」
薬草学の教科書を城内の何処かに落としてしまったらしいレギュラス。
階段は入れ替わるし周りは騒がしいし広いし大きいしでかいし。
たった一冊の本を見つけるなんて難しい話だ。

「レイラ先輩ごめんなさい…こんな事につき合わせて」
しょぼんと落ち込む子犬、もといレギュラス。
あああああこんな可愛い後輩をもてて幸せだ。

「気にしないで。暇だったし」
言葉通り授業も終えて幸運な事に宿題も出なかった今日は暇なのだ。
まぁ、夕食は食べなきゃなぁ、と思ってるけど。

城内をぶらぶらと歩き回る。
それにしても彼が教科書を落とすなんて。
しっかり者の優等生なのに。
何となくしっかり人間らしくて。
完璧なんかじゃないんだ、って。
親近感が沸くというか…辺りをきょろきょろ見回してるのが可愛い!
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