短編

□血
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「あいらうゆー」
怪訝そうな赤い瞳が僕を見る。

「どういう意味だと思う?」
「私は貴方をらうする」
早く答えを言ってくれ、とでも言うように彼女は真っ直ぐと僕を見ている。
鋭い赤い視線は敵意を含んでいるようだけれどまだ幼い女の子だ。

「好き」
「殺す」
小さな白い手の中でペンがばきりと折れた。
静かに物騒な事を言う高い声に苦笑した。

「って言う意味なんだけど」
「…お前は死に値する」
べらべらと流暢に話す言葉先程と拙い英語ではなくて。

「お前なんかと少しでも血のつながりがあるだなんてぞっとする」
艶かしい蛇の言葉だ。

「愚かなマグルの父親みたく死ねば良い」
「それは素敵だ。君の父さんみたくなろうか」
「ああ、自害してしまえ。その首根っこかいてやろうか」
折れた羽ペンをそこら辺に置いて再び菊花が僕を見た。

「お前なんかに教わろうとした私が馬鹿だった」
「酷いね。今まで教えてあげてたのに」
「何処がだ。くだらない事ばかりぬかして」
レイラはぶっすりと不機嫌そうにインクの染みが残る羊皮紙に手をかけた。
汚れた部分と引き裂いてぐちゃぐちゃと丸める。
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