無
□眠りにつく前に
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「何で来たの?」
眠りにつこうと、ベッドへ入ったまでは良かった。
だけど、眠りにおちる、その前に。
ふと彼を思い出してひどく恋しくなって会いたくなって。
その感情だけに突き動かされ男子寮の、リドルの部屋まできてしまった。
「ごめん」
「そうじゃなくて」
それなのに呆れたように溜息をつく彼は冷たい。
今だって、突き放すみたいに。
(仮にも恋人じゃないのか私は)
「何か、用事があるのかって聞いてるんだけど」
ああ、と言いよどむ。
用事がないと駄目なのか。
会いたい、は用事じゃないのか。理由にならないのか。
「別に」
「こんな時間に呼び出して?」
確かに消灯時間は過ぎている。
だけど、だけど。
ああ、何なんだこの差は。