□空から、
1ページ/3ページ

夜、天文台に来た。
消灯時間は過ぎてる。
寮を抜け出したのがばれたらまずいだろう。

だけど、天文台に来た。
眠れなかったから。

下を見ても遠すぎて分からない。
本当に下があるのかも分からない。

「…飛び降りたら、」
独り言を呟く。
続きの言葉は無い。
誰も聞いてなんて、無い。

―…飛び降りたら、楽になれるだろうか?

もう全部面倒なんだ。
思い悩むのには疲れた。
誰も気づいてくれない。
こんなに悩んでるのに。
こんなに頑張ってるのに。

父や母に気遣うのも疲れた。
兄さんがいつか戻るんじゃないかと希望を抱く事にも。
あの人に仕えて言う事を聞くのだってもう楽しくない。

疲れた、疲れた。

―…死にたい。
死んでしまえれば、
(きっと楽に、だなんて)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ