短編
□記憶
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11歳の暑さが和らいだその日。
私宛に手紙が来た。
ホグワーツ入学許可書…―
私は魔法使いだったらしい。
それはそれはひどく驚いた。
パパもママも驚いていた。
そして私はもう一度驚く事になる。
パパもママも本当の親じゃなかったらしい。
子供の出来なかった二人は孤児院で私を養子にしたんだって。
でも貴方の帰ってくる家はここだ、と言ってくれた。
そんな訳で私は魔法学校に通い、魔法使いとして生きる事となった。
そして詳細を知りたがっている人には悪いが私も17を数える。
ホグワーツの七年生。最終学年。心残りの無いよう学校生活を楽しんでいる。
「穢れた血」
まぁ、半分くらいは。
ぽたぽたと水が垂れた。
先程終えたレポートが水浸しだ。
「貴方みたいなのが崇高なるスリザリンの寮だなんて」
「そんな言い方しちゃ駄目よ、可哀想じゃない」
人は優位に立つのが好きらしい。
安心するんだろう。あいつよりはましだって。
馬鹿にするように笑い声を上げる女子数人。
関わらないようにしていた人達だ。
しゃがみ込んでレポートを拾い上げる。
「何か言いたい事が合って?」
拾い上げたレポートの先を黒い靴が踏みつけていた。