短編
□トランプ!
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「今日の相手は僕だから。行ってくれる?」
男の腕を振り払い彼女を引き寄せた。
レイラが目を見開いて男が去っていくのを見ている。
「…お金くれるの?」
「まさか。早く何処か行ったら?」
「なんだ。今日の相手探さなくちゃ」
少しだけ残念そうに男が去った方を彼女は未練がましく見つめていた。
けれど、それを振り払うようにふるふると頭を振っている。
「助けてくれてありがとう。助かった」
一方的にそう告げると彼女は早々と歩き始めた。
さて、僕も先生に呼ばれてるんだったかな。
会えば言葉を交わすけれど、それだけの仲。
僕は彼女をどうとも思ってないし彼女も僕をどうとも思ってないだろう。
ただ彼女と僕は全く違うから。
だから、何となく気になる。
好意じゃなくて、好奇の対象なだけだ。
成績も品行も悪くて、お金に執着する。
本当に僕とは逆だ。
似ている所を上げるならば。
首をかしげて頭を捻る事になるけど、
ああ、そうだ、人に興味がない所かもしれない。