短編

□トランプ!
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誰が見ても明らかに情事の後だったんだろう。
お金をもらって性行為する。何処にでもいるんだ。ああいう女って。
彼女が首からぶらさげてたのは緑色のネクタイだった。
あんなのがスリザリンだなんて。気分が悪くなる。

「あ、リドルだ」
ついてないのは生まれつきだ。

「うわ、何その分厚い本」
「今から図書室に返しにいく」
「うげ、全部読んだんだ」
「3日」
「3日!私と貴方はきっと違う種類の生き物だ」
3日かぁ、と呟く彼女と一緒に階段を降りる。
…5年生の部屋から出てきた。男子寮。

「…君は何でそう言う事してるの?」
「お金くれるならいつでも相手するよ」
話がかみ合わない。
ふとさっき彼女が違う種類の生き物だ、といったことが頭をよぎった。

「お金稼ぎたくて。学校も卒業したいから」
こんなんなの、と言って彼女は最後の階段から降りた。

「あ、私の名前レイラって言うの」
何かあったらよろしくね、と言って彼女が背を向けて歩いていく。
…僕に名乗ってどうしようと言うんだろうか。
本当に彼女と僕は違う生き物なのかもしれない。
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