短編

□蛇
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「アブラ、私が人になったのと彼が風邪を引いたの、関係あると思わない?」
アイスブルーの瞳が私を見つめる。
タイミングよく来た彼はリドルの看病をしていた。
今さっき食事を終えたところらしい。

「…さぁ、どうして?」
分からないと言うくせに人に意見を求める。
私だって間違えてたら恥ずかしいのに。

「何となく。彼はずっと風邪なんて引かなかったから」
「ずっと?」
「7年以上もよ」
ふ、とアブラが短く息をついた。
それから関係ないだろうと私に言っている。

「そうだと良いんだけど」
動物には残念ながらほとんど魔力がない。
魔法なんて使えない…はずなのに。
きっと私が人になったのには魔法が関係していて。
人なら魔法使いでも何でも食べる事が関係しているのかもしれない。

ああ、もしも、もしもだけど。
私が彼の魔力を奪っているのだとしたら。
彼が弱るのにも納得が行くし、ああああああ。
今の私は彼の邪魔をしているのかもしれない。

ああ、やっぱり人間はくだらない。
衝動的に彼の所を飛び出してほっつき歩いた。
見知らぬ男数人に声をかけられついて行く。
ご飯が食べられるならそれが何だって良かった。

欲にまみれた汚い手が私に触れたから。
だから一人の男を殺してしまった。どうでもいいけど。
怯えた他の男達が杖を取るのを見て、殺されるんだと思った。
死ぬのなんて怖くないけど。今私が死んだらリドルはどうなるんだろう。
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