照らす太陽

□22枚目
5ページ/10ページ

ルカside

館から離されたと言っても、年に数度は顔を見せに行っていました
ですが、私が一番会いたいあの方は顔を見せてくれず
聞いた話によれば、ジョーリィの研究室に入り浸っているということでした

本当であれば、あんな――のそばにディク様を居させたくなかった
会いに行こうとしても、ことごとくジョーリィに邪魔をされ
やっと会えたのは、別れてから5年が経っていました

タロッコと契約をしたという事で、話をしてみたかったのですが
それよりも、その手を握る男が癪に障った

ジョ「これはこれは、お久しい顔が」
ル「ジョーリィ、あなた、お嬢様に近づかないでください!」

ディク様に触れるその手が憎らしくて
照れ隠しにお嬢様をダシにしました

お嬢様の記憶の中では初めて会うお兄様であるディク様に照れたのでしょうか
お嬢様は私の陰に隠れるようにしていて
同じようにディク様も、ジョーリィの陰に隠れていました
微笑ましいなんて考えたあの時の自分を殴り飛ばしてやりたい
そんな事を考えているから、あの方の声を聞き逃したんです

『ルカ!』
ル「え、あ、はい?
て、ああ!ディクター様!!
お久しぶりです、元気でしたか?」

他の方の目もあります
愛称ではなくきちんと名前でお呼びすると、小さく息をのむような音がして
いつぞやのように大きく目を見開くディク様
翡翠には以前のような透明感は無く、どこか暗くて
その表情はまるで
絶望

驚いて、またディク様の言葉を聞き逃してしまった
急いで聞き返すと、今にも泣きそうなほど顔を歪める

『どうして、ここに居るの・・・?』
ル「それはですね」
『ルカ達はここに居ちゃいけないんでしょ?
ジョーリィが言ってた。
なんでここに居るの。
帰ってよ!!!!』
ル「ディクター様?!」

まるでジョーリィに縋るように
きつくその服の裾を握りしめる手は真っ白でした

『帰れ!!!!!!!』

弁明する隙すら与えずに言い切ると、踵を返して
あっという間に足音すら聞こえなくなってしまった

なぜ無理に引き止めなかったのか
追いかければきっと追いつけたはずなのに
今にも私を殺すような目で見てくるジョーリィに、一歩たりとも動けなかった

だったら次こそは

貴方に謝りたいんです
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ