照らす太陽

□22枚目
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ディクターside

館から離されたと言っても、まったく会わない訳じゃない
ルカもマンマもフェリチータも
時々館に戻っては来ていた
会い辛くて、会うのが怖くて

やっと顔を合わせられたのは、俺がタロッコと契約をして
正式にファミリーの一員になった後だった

ジョ「これはこれは、お久しい顔が」
ル「ジョーリィ、あなた、お嬢様に近づかないでください!」

なかばジョーリィに引きずられるようにして連れて行かれた先に
5年ぶりの彼が居た
妹は髪も伸びて、綺麗なワンピースを着ていて
ルカの後ろに、大事そうに庇われていた

『ルカ』

掠れそうになるのを必死に抑えて名前を呼ぶ
きっと彼は、また俺の名前を呼んでくれる
俺を見てくれる
だけど、ジョーリィに何か言うのに夢中で聞こえていないようだった

『ルカ!』
ル「え、あ、はい?
て、ああ!ディクター様!!
お久しぶりです、元気でしたか?」
『っ・・・』

確かに、名前は呼んでくれた
でも違う
それじゃないんだよ
ルカの口から聞きたかったのは、その名前じゃない

『どうして・・・?』
ル「はい?」

前はわかってくれたのに
なんで気づいてくれないの
俺がここに居るってことを
俺が何を聞きたいのかを

『どうして、ここに居るの(どうして、前みたいに呼んでくれないの)・・・?』
ル「それはですね」
『ルカ達はここに居ちゃいけないんでしょ(なんでここに居てくれないの)?
ジョーリィが言ってた(パーパの言葉なんか無視してよ)。
なんでここに居るの(どうして俺に会いに来てくれなかったの)。
帰ってよ(ずっと一緒に居てよ)!!!!』
ル「ディクター様?!」

怒鳴った俺に怯えるように、フェリチータはルカのズボンを握る
同じように俺も、ジョーリィのスラックスを握っていた

『帰れ!!!!!!!』

本当に言いたい事は別なのに
口から出るのは酷い言葉ばかり

あの日に戻れるなら
ルカと、フェリチータにも言わなきゃならない

冷たくしてごめん
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