照らす太陽

□22枚目
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ルカside

初めてディク様に出会った時
あの方は泣いていました
生垣の隙間で
大人の視点からは簡単に見つからないような場所で
眠りながら、涙を流していました

見ていられなくて
泣いていた事を彼が知らないようそっとその雫を拭って
そっとその肩を揺らした

ル「初めまして、坊ちゃま」
『・・・だれ?』

透き通るような翡翠の瞳
お嬢様の物よりももっと淡い色のそれに、見惚れてしまいました

ル「ルカ、と申します。
今日から坊ちゃまとお嬢様のお世話係をする事になりました」
『どうして・・・?』
ル「お嬢様が、坊ちゃまはよくここに居らっしゃると教えてくれました。
さあ、戻りましょう?」

本当に本当に不思議そうに
訪ねてきた彼の真意をくみ取って答える
予想は合っていたようで、大きく目を見開く彼の手を取る

立ち上がらせると、起きたばかりだったからでしょうか
大きくディク様の体が傾いた
慌てて支えようと手を伸ばすと、なぜでしょうか
勝手に体が動いてその小さな体を抱き上げていました

小さいとは言え、予想以上に軽くて驚きました
歩き出すと、落ちないように服を掴む力が微笑ましかった

『ディク』
ル「はい?」
『ディクってよんで』
ル「え、ですが・・・」
『オレがいいっていうんだからいいの!』

強い調子でそう言われ、思わず頷いていました

時折寂しそうにパーパとマンマ、そしてお嬢様の団欒の様子を眺めていたのを知っていたのに
パーパにお嬢様たちと共に館を離れるように言われ
記憶を失った彼女を支えたくて
私はディク様のもとを離れてしまった
本当に辛いのは貴方なのに
本当は

貴方の傍に居たかった
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