照らす太陽

□20枚目
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水面を通って涼やかな風が吹く
ジワリとかいていた汗が、すぐに乾いて行く

『ここは避暑には最適だな』
ル「今まで考えた事はありませんでしたが、確かにそうですね」

ルカと力を合わせて薬草園の中のテーブルとイスを外に出す
これは外の方が涼しいだろうという意見が一致した結果だ
ルカが鞄の中からティーセットやお皿を出していく

ル「今日のおやつはランポーネのジャムを挟んだビスコッティです。
ただ甘い物はあまり好まないと聞いたので」
『たしかに、俺は苺よりはラズベリーの方が好きだが。
誰に聞いたんだ?』
ル「・・・癪なので言いたいくないです」

それだけで誰かわかったぞ
一つつまむと、品の良い甘酸っぱさが広がる
うん、おいしい

『このジャムもルカが?』
ル「はい」
『ルカは何でも作れるんだな。
尊敬する』

俺はコーヒーとかその程度しかできないからな
純粋にすごいと思う
サクサクと音を立てながらつまんでいく

『これは、止まらないな・・・』
ル「気に入って頂けたようで嬉しいです」
『また作ってくれ。おいしい』
ル「はい!」

まさかこんなに喜ばれるとは
鼻歌でも歌いだしそうだ
そんなに喜ばれるような事を言ったつもりはなかったのだが・・・
気のせいか、ルカの周りに花が散っているような

ル「ディク様?」
『へ、あ、いや。何でもない』
ル「そうですか?なら良いんですが」

不審に思われてしまっただろうか
まあ、顔を凝視して固まられては不思議に思うのは当然か
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