照らす太陽

□9枚目
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部屋に残ったのは、「緊急事態」の本当の意味を知っている人間だけ
そもそも所構わず葉巻を吹かす男が控えている時点で、違和感を感じてもおかしくはない


ジョ「相変わらず、寝たふりが得意だな」

その言葉を聞き、ゆっくりと閉じられていた眼が開く
彼以外気が付いていなかったのだろう
マンマの手が布団の中に忍び込む

モ「イ、イテテッ」
ス「呆れた人。
ジャッポネではそれを狸寝入りって言うのよ」
モ「スミレぇ、そんなに抓ったら尻の肉がもげる」
ス「少しくらいもげた方が男が上がるわ、よっ」
モ「い、イテテテ」

事態を一番この二人が理解しているはずなのに
どうしてこうやって戯れていられるのだろう

ダ「だがモンド、本当にこのままでいいのか」
モ「・・・」
ジョ「くだらない質問は止めておけ。
そのために私たちがどれほどの労力を費やしたと思っている。
本来であれば、まだ時間はあったはずだ」
『さっきも言いましたが、すべて俺の責任です。
俺が心乱される事無く己の職務を全うしていれば、このような事には』

壁から離れ、姿勢を正す
頭を下げ、続きを口にする

『申し訳ありません、パーパ。
あなたの秘書であるという事の意味を失念していました』
ス「頭を上げてちょうだい、ディクター。
休息を必要としている人の前でする話じゃないわ」
『・・・申し訳ありません』

マンマに退出を促され、三人そろって部屋を出る
扉が閉まるか閉まらないかのうちに、ダンテが口を開く

ダ「もう、時間がない」
ジョ「ならば、我々がとるべき行動はただ一つ。
分かっているな、ディクター」
『当然だ』
ダ「一つではない。可能性を狭めようとするのはお前の悪い癖だ。
どうも、お前とは意見が合わんな」
ジョ「長い付き合いではあるが、私も同意見だ」

意見が合わない事への考えは一致しているのか
何たる皮肉
視線を上げると、見慣れた赤毛

『ダンテ、ジョーリィ』
ダ「っ。お嬢さん」
ジョ「何か訊きたい事でもあるのか」

意志を秘めた瞳で真っ直ぐ射抜かれる
無言でうなずき、視線で先を促してくる

ジョ「そんなに興味があるなら、その飽くなき探求心を満たしてやろう」
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