照らす太陽

□8枚目
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本を抱えて廊下を歩いていると、ジョーリィの私室の方向から何やら気落ちした様子の
パーチェが歩いてくる
どこかわき道にそれてやり過ごそうかとも思ったが、その前に気付かれてしまった

パ「あれ、ディク?」
『お前が気落ちしているとは珍しいな。
明日は雨でも降るんじゃないか』
パ「酷い!」

パーチェは昔から、あまり俺の事を嫌ってはいなかった
だからこそ、俺はあまり彼との距離がつかめない

『用事があるんだ。俺は行く』
パ「あのさ、あんまりジョーリィには近づかない方がいいよ」
『余計な御世話だ』

脇をすり抜けて、さっきまでよりも早足で廊下を進む
いつだったか、エルモと決めたノックをすると、すぐにドアが開いた
本を持っているとドアが開けられないことが多いから、これを決めたのは本当に良かった
少々行儀が悪いが、足でノックをするのは許してもらいたい

エ「ディクお兄ちゃん!」
『約束だったからな。
新しい本を持ってきた』
エ「ジョーリィから聞いたよ。
怪我をしているんでしょ?大丈夫?」
『痛み止めが効いているからな。あまり痛くはない。
それに、綺麗に怪我をしたからな。傷跡も残らないだろう』

俺が抱えていた本のいくつかを受け取り、重さによろめきながらも机に向かう
読み終えた本だろうか、いくつか机の上に本が重ねられていた

ジョ「まったく、今日は客人が多い日だ」
『さっき廊下でパーチェに会った。
あの3人はあんたを嫌っているからな。珍しい事だ』
ジョ「何やら面倒な事が起こりそうな予感がするんだがね」
『止めてくれ。あんたの予感、特に悪い予感はよく当たる』

ジョーリィが淹れようとするのを阻止し、自分でコーヒーを淹れる
いつぞやのホットミルクのようなクソ甘い代物を飲まされては、たまったものじゃない
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