照らす太陽

□7枚目
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ついにパーチェがしびれを切らし、駄々をこね始めた
正直俺たちも空腹は感じている
最終的にルカも折れ、昼食の準備を始めた

俺は植物園から外に出て水面を眺める
かすかに中の喧騒が聞こえてくるが、まさに俺は蚊帳の外
こっそり帰ってしまおうか
とりあえずまっすぐ進めばどこかには着くだろうし、明日の朝までにたどりつけば

『よし、そうしよう』
ル「何がそうしよう、なんですか?」
『俺は先に帰る。
迷うかもしれないが、探す必要はないから』
ル「まったく、何を言っているんです。
昼食にしますよ。あまり食べていないんでしょう?
顔色が悪いです」

嫌いだと言われた相手の事をなぜ気に掛ける
フェリチータが何も知らないから表向きは以前と対応が変わらないとはいえ、
この前の事で明らかに漂う空気が悪い
いい加減にしないと、ルカへの心象も悪くなってしまう

こっちがそう考えているのに、ルカは俺の右手を引いた
軽く袖を捲れば包帯が見える
手首に巻かれたものだけでなく、ピッコリーノの時から巻いている包帯もあり、
俺の右腕は肘から手首まで完全に包帯でおおわれている

ル「どうしてあのような事をしたんですか。
痛くない訳ではないんでしょう?」
『・・・』
ル「あまり、ご自分の体を傷つけるような事はしないでください」

優しい言葉をかけないでほしい
俺を気にかけないでほしい
勘違いしてしまうから
ルカが約束を覚えているんじゃないかって
俺のもとに戻ってきてくれるんじゃないかって
誤解してしまうから

『なあ、ルカ』
ル「はい」
『俺にはな、お前しかいなかったんだ。
お前が約束を忘れた後、ジョーリィとの関係を知って。
それで俺とお前は同じだとも思った。
でも、今のお前には家族がいる。
だから、俺とは違う』

俺は何が言いたいんだろう
自分で言っていて訳が分からなくなってきた
それに気づかれないように、必死に言葉を紡ごうとして
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