照らす太陽

□5枚目
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暗い部屋の隅、膝にエルモを抱きながらウトウトと微睡む
エルモは大人しく本を読んでいて、子供体温が素晴らしく睡魔を呼んでいる

ジョ「困った事や誰かと喧嘩をする度に、ここに来るのは止めてもらえないかね」
『ん、ん・・・』
エ「ジョーリィ、ディクお兄ちゃんは疲れているんだよ?
寝かせてあげようよ、ね」

小さなころからの癖だ
ここに来れば、だれにも邪魔されずに休める
なんだかんだ言いつつも、ジョーリィは俺の中の穴を埋めてくれている
実の息子に愛を与えなかった父親と、実の父からの愛を得られなかった息子の
他人同士の傷の舐め合いだ

ジョ「しかし、お嬢様に見つからずにすんで良かった。
エルモが見つかっては、拙い事になっていた」
『エルモの【塔】の力を増幅させて姿を見えなくさせた。
見られて拙い事くらい、理解している』
ジョ「それはなによりだ」

何やら湯を沸かす気配がする
眠気覚ましにコーヒーでも入れるのだろうか
なら頂いておこう
そろそろシャンとしなければ

『じょーりぃ、俺も・・・』
ジョ「案ずるな、これはお前の為のものだ」
『は?』

しばらくして渡されたカップに満たされていたのは、ホットミルク(激甘)
一口飲んで危うく吐き出しそうになった

『おい、どういうつもりだ』
ジョ「それを飲んだらちゃんと横になって休め。
石床に座り込んでは体を痛める」
『はぁ・・・』

何か薬でも混ぜていたのだろう
半分ほど飲んだころには、抗いがたい眠気に襲われていた
崩れる体を支える腕の持ち主に、精一杯の悪態を送ったところで
意識は黒く染まった

『いつか絶対、ぶっとばしてやる・・・』
ジョ「クク、楽しみにしている」
エ「お休み、ディクお兄ちゃん」
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