照らす太陽

□5枚目
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仕方がなく、顔を上げてルカを見上げる
眉を下げて、今にも泣きそうな表情をしていた

ル「私たちを困らせるのは構いません。
ですが、せめて。せめて、お嬢様を悲しませないでください」
『悲しませないようにしているだろう?』
ル「何処がですかっ」

一歩、部屋の中に入ってくる
なぜか足を下すのを躊躇うようなそぶりを見せたが、なにを怯えているのだろう
俺がその程度の事を咎めるとでも思っているのか

ル「どうしてですか。
どうしてお嬢様にあんなに冷たくされるのです。いえ、お嬢様だけではございません。
リベルタやノヴァにも冷たく当たって・・・。
何か気に入らない事があるのですか。
言ってくださらないと、分かりません。私たちはお嬢様のような力はないのです」
『もしあったとしても、読ませはしない。
いい加減、俺を気にかけるのをやめろ。
以前お前が言っただろう?居ない者として扱えと。
その通りだ。俺の事など忘れてしまえばいい』
ル「何を無茶な事を言っているんですか。
私があなたの事を忘れる訳がありません」

大切なお嬢様の血縁で、パーパとマンマの血縁だから、だろ
俺を見ているわけじゃない
だったらいっそ、忘れてもらった方がいい
このファミリーに、太陽はすでにいる
俺は必要ない

『話はそれだけか。
なら出て行ってくれないか。仕事の邪魔だ』
ル「っ・・・」

唇を噛むと、らしくない乱暴な仕草でドアを閉めた
胸が痛まないわけではない
だが、いずれ俺はここから消えるつもりなんだ
俺が存在していない日常に慣れてもらわなければ困る
だから、さっさと嫌ってくれないか
居ない事に気が付かないほどに、居ない事を喜べるほどに
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