照らす太陽

□19枚目
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久しぶりにまともに机に向かっている気がする
各セリエの見学も終わり、ようやく自分の職務に戻れた
紙をめくる音が止まり、これで今日の仕事は終わり
午後は自由に過ごせる

ル「お疲れ様でした」
『最近体を動かしてばかりだったからな、少し目が疲れた』
ル「ディク様はもう少し体を動かした方がいいですよ。
今までずっと室内に籠りっぱなしだったんですから」
『否定はしない』

いつものコーヒーの香りではなく、どこか爽やかな香りがする
気になってルカの手元を覗きに行くと、紅茶とも違った色合いのお茶が注がれる

『ルカ、これは?』
ル「ハーブティーです。
お疲れだろうと思いまして、香りも楽しんでいただこうと」
『へぇ、確かにいい香りだ』

顔を近づけて鼻を鳴らすと、頭上から苦笑が落ちてきた
行儀が悪いとは思うが、気になるんだから仕方がない
ハーブティーなんて今まで飲んだ事があっただろうか

ル「どうぞ」
『ん』

口に含むと、より一層香りが増す
思わず口元がほころんだ
さすがはルカ
ハーブティーは好みが分かれると聞いた事があるが、これはまさに俺好み

ル「ハーブは以前ディク様も行かれた薬草園で育てているものです。
定期的に摘みに行っているんですよ」
『パーチェ達と?』
ル「いえ、この程度でしたら一人で行きますね。
彼らと行くのは年一回だけです」
『じゃあさ、今度は俺も連れて行って』

ルカと二人っきりでさ
袖を引いて引き寄せ、耳元でささやく
すぐに顔を真っ赤にして、可愛いったらない
このままキスでもしてやろうかと思ったが、

    コンコン

ル「っ」
『どうぞ』

ものすごい勢いで離れたルカ
寂しくなんてないからな!

邪魔・・・ゴホン
入ってきたのはマイザーさん
さすがに客人の前で座ったままと言う訳にもいかない
立ち上がり出迎える

マ「ああ、よかった。
お仕事中かと思いました」
『ちょうど終えて休憩をしていた所です。
どういったご用件で?』
マ「優れた錬金術師が居ると伺いまして」

ルカと顔を見合わせる
ルカも錬金術師ではあるが、うちで錬金術師と言えばあいつしかいない
だが、なぜ俺の所へ

マ「ずいぶんと気難しい方のようですが、ディクターさんには優しいと聞きましたので。
取次ぎを頼もうかと」
『あー・・・。
わかりました。ついて来てください』
マ「ありがとうございます」

ルカには可哀そうだが、部屋に置いて行く
ジョーリィと顔を合わせるよりはいいだろ
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