×平和島静雄

□折原臨也の恋情×××
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「話が…ある。」
いつになく真剣な顔で、金髪の男―平和島静雄が切り出してきたのは、高2のもうすっかり秋が深まった頃の昼休みだった。
―シズちゃんが、俺に話?―決闘の申し込みじゃないだろうね…。
臨也は、警戒の色を浮かべながらも、口を開いた。
「話?どうせココ…教室じゃ言えない事だろう?」
「お、おぅっ…////。
だ、だから用具倉庫、裏、に…/////」
もごもごと、低く呟く静雄の顔が、心なしか赤いような気がして、臨也は目を見張った。
―あのシズちゃんが、顔を赤くしてる…だと?
そう考えたのも束の間、自身の観察力に苦笑する。
ーそんな事、あり得ないか。
―見間違いに決まってる。―…俺の目も落ちたもんだ。
制服の上ポケットの中に、常用しているナイフがある事を、密かに確かめると、臨也は立ち上がった。
「…分かった。じゃあ、さっそく行こうか。」


この時は、思いもしなかったのだ。
まさか、お互いに嫌悪しあっていたと思っていた静雄の口から、あんな言葉を聞く事になろうとは―。


「好きだ。」
真っ赤な顔で、バーテン服姿の静雄が、告げた。
その言葉に臨也は、8年前の事を、思い出さずには入られなかった。
人気の少ない倉庫裏。
『…好きだ。』
消え入りそうな声で伝えられた、想い。
今にも泣き出してしまいそうな、頼りなくて弱々しい表情。
『俺もだよ。』
そして、自らが明かした本音。
あの瞬間から、自分たちは始まったのだ。
―しかし。
それはあくまで、昔の話だった。
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