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□トゥルーラブ−真実の愛−
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「おい、ふざけてんのか雪男っ!!お前の授業は、鬼だ!スパルタだ!
今は、ゆとり教育だろ!?
なのに、なのにっ…なんで宿題やら、課題やらがこんなにあるんだよぉ〜っ!!」 僕が帰るなり、兄さんは訴えて来た。
机の上には、たくさんの参考書やら教科書やらが溢れているけれど…手をつけた形跡はほとんど無い。
あぁ、頭痛が…。僕は思わず、溜め息をついた。
「文句言うヒマがあったら、手を動かしなよ…兄さん。それに、ゆとり教育はとうの昔に終わったし。」
「っっっ!ンな事、分かってるっつーの!!
いちいち嫌みったらしーんだよ!このスパルタ眼鏡!!」スパルタ眼鏡って…。
勝ち誇ったように言われても、困るんだけど、兄さん。
僕が黙り込んだのを、どういう風にとったのか、兄さんは早口でまくし立てた。「…だいたいなぁ!雪男は、いっつも勉強しろ、勉強しろってさ、頭ごなしに言うだけじゃねーか!!
いちおー教師なんだから、たまには教えてくれたってっ…!」
「へぇ、教えて欲しいんだ。」
拗ねたように喚くその耳元でそっと囁くと、一瞬で兄さんは、静かになった。
あぁ、どうしよう、可愛いすぎるよ!
顔を真っ赤にして、うつむいちゃって…本当に可愛い。
そんな兄さんをもっと見たくなって、僕はわざと爽やかに微笑んだ。
「で…一体、どんなイケない事を教えて欲しいのかな?」
「っっっ〜////!
な、な、何言ってっ!!」
すると、兄さんは首筋まで茹でダコのように真っ赤にさせた。
と、思ったら、赤い顔のまま、僕の胸元をボカボカと殴り始める。
「お、俺がっ!!俺が言ってんのはなぁ/////っ!
そーゆうヤラしい事じゃねぇ!!このぉ、このぉ、変態眼鏡の馬鹿野郎っ////!!」ヤバい…本当にヤバい!
兄さんの罵倒を聞きながら、僕も自分の頬が熱くなるのを感じていた。
だって、これは反則だろ!「ほんと、お前はっ////!!変態っ、変態、変態っ!!」兄さんのうわ言のような罵倒は、まだ続いている。
その全てがダメだった。
赤く上気した頬も、シャツから覗く色っぽい鎖骨も、その子供っぽい言動も。
そして、何よりせわしなく動く桜色の唇が、僕の目を引いた。
これで無自覚とか…兄さんはどれだけ淫乱なんだよ!心の中で自分を自制しようとするも、それは結局、意味をなさない。
「いつも、いつもお前は!雪男の馬鹿!雪男の変態っ雪男のっ////…っふ!?」
なぜなら、僕はその柔らかな唇に、自らを重ねてしまったからだ。どれくらいそうしていただろう。
そっと唇を放すと、兄さんはヘナヘナと座り込んでしまった。
「へ?おま、い、今何してっ//////!?」
「何って、キスに決まってるじゃないか。」
「っっっ〜//////!!
な、な、なんでこんなこと!?っ!…っ///。」
泣き出しそうに顔を歪める兄さんを見て、思わず苦笑する。
…分かってないな。
きっと、僕がフザケ半分でしたと思ってるんだろう。僕の気持ちを知らないから。
そんなふざけた気持ちで、唇を許す訳なんてないのに。
だから、僕はまるで小さな子供に言い聞かせるように、ゆっくりと呟いた。
「なんでだって?決まってるじゃないか。」

「兄さんの事が…大好きだからだよ。」
「え…?」

吐息のような声を漏らした兄さんの応えをまたず、僕は目を細めた。
「だから、これから色々な事、教えてあげるね。…兄さん。」
「う、ん…。」
兄さんはかすかに、でもしっかりと頷いた。



(でも、教えてなんて…エロいね。兄さん♪)
(う、うっせぇ!!
死ね、ほくろ眼鏡っ////)でも、大好きな人からのキスが嬉しかったのは、内緒…。
 

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