バトルロワイアル短編集

□最期かもしれない
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ゲームが始まってしばらくが経つ

ゲームの舞台となっているんはどこかの学校。
僕は音楽室と隣接する、音楽準備室に隠れていた


『お兄ちゃんたちはどうしてるんかなぁ・・・』


こうしてる今も誰かが殺しあっているのかもしれないと思うと
怖くて怖くてしょうがなかった。
お兄ちゃんとお兄に会いたかった




ガチャ、



ビクッ



音楽室に繋がっているドアが開いた。
音楽室のほうから誰か来たみたいや。


どうしよう、どうしよう・・・もし・・・相手が銃とか構えてたら・・・

怖い・・・怖い・・・



でも、入ってきたのは



「・・あれ、将也?」

大好きな、お兄(龍太)だった。


『お・・・おにいやぁ〜』

一目見ただけで涙が出てきた

「え、ちょ、待ってや!そんな泣かんとってよ!」


焦るお兄。
やっぱりお兄は何も変わってへんかった


「ずっとここにおったん?」
『ううん、1時間ほど前から・・』
「そっか」
『・・今ごろ・・・みんな何してんのかな?』
「・・・どうなんやろな」


すると、近くで誰かの声が聞こえた



「アハハハハハハ!みんな、みんな死んでまえばええねん!生き残るんは俺や!」


声からして・・・照史くんだろうか・・・?
でも・・・あの照史くんが・・・まさかな・・・?

でも、そう思ったんは僕だけじゃなかった



「照史・・・」

お兄も悲しそうに呟いた



明らかに狂った照史くんの声が声が近づいてくる。
時々どこかに発砲している音も聞こえる
見つかったら僕らも殺されてしまうやろうか?



バタンッ


「誰かいないのかー?」



ここではない、どこかの部屋のドアが開いた。
照史くんが音楽室に入ったらしい。

やばい・・・ものすごい近くにいる


『お兄・・・どうしよ、』
「大丈夫や。お前は俺が守ったる。絶対。」


怖くて怖くて仕方がない
でも、お兄の言葉が心強かった

お願いやから・・・ここにはこないで、照史くん。


「・・・ここにいたら、危ないな」
『え?』

「将也・・・俺、行ってくる。照史のとこ」
『何・・・言ってるん?お兄まで殺されてしまうかもしれないんやで!?』
「せやけど、このままだったら絶対ここにも来る。それやったら、お前も危ない」
『でも・・・!』


お兄が、照史くんのもとへ行ってしまう・・・


「俺は大丈夫。お前だけは絶対守るから!お前はここにおってくれ」
『やめてや、おにい!行かんでよ・・・!』
「・・・将也、向こうの部屋で何があっても、どんなことになっていようと、絶対ここから出るなよ。今からの照史との戦いが収まるまで。おにいの命令や」


そう言って、お兄はいつもと変わらない笑顔を見せた。

お兄には行ってほしくない。
僕の隣にずっといてほしい
でも、お兄の決心を僕が邪魔をすることはできなかった



「じゃあな、将也。ちょいと行ってくるわ」


そう言い残して、お兄は隣の音楽室への扉を開けた。



『"ちょいと"ってレベルとちゃうやろ・・・』


涙が止まらない中、僕は静かに思った。

お兄とは、これが最後やったかもしれないって。


最後に見せたお兄の変わらない笑顔が、ずっと頭から離れなかった。





 
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