アイの翼

□02
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「脱げ。包帯を変える」

男は、夏流を見下すように見つめ、服を脱ぐように促した。
高圧的な態度に、夏流は不服そうに睨みながらも、その催促に従い服を脱ぐ。

「ふむ。その服も、どうにかせねばならないね。ボロボロだ」

藍染は、背中を向けて服を脱ぐ夏流をじっと見つめていた。

「…別に、そこまでして貰わなくても」

「見苦しい、と言っているのだよ」

「…」

どうにも、藍染の言葉は癇に障る。
包帯を変える男よりも高圧的で傲慢な口調と、冬至とよく似た声音だからだろうか。

「その内、衣服も用意させよう」

どこまでも、癇に障る男だ。
夏流は、沈黙を貫きつつも、その背中は男への不信感を剥き出しにしていた。

「それにしても、君は大の男に裸を見られているというのに、全く恥じらう素振りを見せないね」

突然の藍染の言葉に、夏流は硬直し、目を点にさせた。

「は…?」

「ん?」

(何、言ってんだこの人…)

驚きのあまり、夏流は上半身の素肌を晒したまま、藍染の方へと振り返ってしまっていた。
陶器のように白く滑らかな肌は、節々がほんのり紅色に染まり、乾いた傷口の分を差し引いても、思わず凝視してしまうほどの眩さだった。
未発達な肢体ではあるが、その無垢な有り様に、艶やかさが助長されているようにも思える。

「こらこら。君は子供とはいえ、娘がそう無防備に、進んで自らの裸体を見せるものでは無いよ」

「ち、ちょっと待って」

夏流は、些か強い口調で藍染に制止の言葉をかける。

「何かな」

藍染は、不敵に笑んでいる。
しかし、どうやら夏流のことを、今までずっと少女だと思っていたらしい。
夏流は、深く深く溜め息を吐いた。

「…一応言っておくけど、俺は男ですよ」

その一言に、藍染とその部下たる白い男は、ピタリと動きを止めた。


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