儚く恋しい“波乱万丈”
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皆が、元の世界に帰る時……それは、刻一刻と近付いていた。
でも俺は、涙を流さずに、みんなを笑顔で送りたいと思った。だから、最後の一ヶ月は、皆と楽しい思い出を作ろうと決めたんだ。
笑って過ごして、笑って別れる……
指して難しい事ではないと、この時は思っていた。
「また……会えるよね……皆と……」
慶「おっはよ、夏流!明智!お忍びくんが、朝飯できてるってよ!」
光「朝っぱらから元気ですねぇ…それでも大人ですか…?」
「…おはよ、慶次…」
いつもと変わらない朝。変わったのは、光秀に対する想いだけ…
俺は眠気眼を擦りながら、光秀に寄り添い、台所へと向かう。光秀は嬉しそうに笑って、俺の腰に腕を回してくる。少し歩きにくいけど、幸せだった。
慶「おっ。いいねいいねぇっ!恋してるねぇ、お二人さん!」
光「恋ではありませんよ、愛です」
「…は、ははは…///////」
気恥ずかしさを感じながら、俺は台所のドアを開ける。すると、佐助が爽やかな笑顔をこちらに向けていた。
その隣で、小十郎さんが黙々と朝食を食べている。
佐「おっはよ、夏流ちゃん!朝ごはんできてるから、食べちゃってね♪」
「あ、佐助おはよー。あれ?皆は?」
佐「旦那と竜の旦那は、先に食べちゃったよ。毛利の旦那は日光浴、鬼の旦那は……まだ寝てるみたい。」
小「全く政宗様は……いつも『早食いは毒ですよ。』と言っているのに…」
「ははは…まぁ、政宗らしいと思うよ」
こんないつもの会話。
これも、後一ヶ月で終わってしまうのだ。
…やっぱり、寂しいな…
俺は寂しさを振り払う様に、ブンブンと首を横に振った。
そして、自分の席に着く。その隣に、光秀が当たり前の様に座った。
佐「凄い変わり様だよね〜、夏流ちゃん。いつもなら、『隣に座らないでよ、変態!』とか言うのに〜」
光「恋仲になりましたしねぇ…ククク。もう言う気も失せたのでしょう」
「なっ…///ちがっ…//////」
光「おや、本当の事でしょう?素直になりなさい」
そう言って、光秀は俺の頬に軽いキスをした。そこから、羞恥の熱が広がっていく。
光「ククク…愛らしい。朝から、こんなに愛らしい表情が見れるとはね…ククククク」
佐「いいな〜、明智の旦那ぁ…俺様も、夏流ちゃんにしたい〜」
光「ダメです。貴方はキッパリと振られたでしょう」
佐「ちぇ〜」
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