捧げ物・頂き物
□密やかな夜に
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深々と降っている雪。辺りはもう夜になっていて、寒さは昼の倍になっていた。
『あぁ……寒い……。眠れない……。』
そんな中俺は布団の中でうずくまり、ガチガチと震えていた。
寒いのは当たり前。何てったってここは奥州なのだ。だけどやっぱり……
『寒い……。』
寒いのは寒い……。
だけどこうしたまんまじゃ仕方ないし……。風呂に入って温まりにでもしようかな。今は深夜だし誰もいないはずだ。
思い立ったが吉日。
手拭いと羽織を持って露天風呂へと向かう。
『あー寒い寒い……。』
手を擦り、自分の吐く息で温める。それを繰り返している内に風呂へと着いた。
あぁ……これでやっと温まれる!!
大事な所を隠すために手拭いを腰に巻いて、木製の襖を開ける。
モクモクと白い湯気が立っていたが、黒い影がユラリと見える。
『なっ!!何奴!!』
今の俺は丸腰だ。敵の間者だったらどう対処するか……。
しかしその考えはすぐに消される。
「Ah?その声は……夏流か?」
『っ!!まっ政宗様!?』
黒い影は何と、この奥州を治めている政宗様だった。
俺何て失礼な事を……。
『申し訳ございません政宗様。まさか政宗様だとは思わなくて……。』
「Ha!構いやしねぇさ。夏流も温まりに来たのか?」
『はい。政宗様もなんですね。』
「あぁ。流石にこの寒さには堪える。」
やっぱり政宗様もなんだ。しっかし……政宗様の体はしっかりしてるなぁ……。所々に傷痕があって痛々しいけど。
まだここに入ったばかりの俺の体は細っこいし、ちょっとしか筋肉が付いてない。俺もいつかしっかりした体つきになりたいな……。
「そんなに俺のbodyを見てどうした?惚れたか?」
『惚れ!?///』
それにぼでいーって何だ!?いつもの異国語かな?
あぁ……俺赤いだろうな今。確かにカッコよくて男も惚れ惚れするような人だけど……って、何言ってんだ俺っ!!///
俺みたいな奴が政宗様のような方に本気で言われるわけないって!!また変なこと考えんな俺ぇぇぇっ!!///
「Hey夏流。もう少しこっちに来いよ。」
『でっでも………。』
「ほら。」
グイッ
『うわわわっ』
政宗様と少し離れて湯に浸かっていた俺は、政宗様の長い腕に引っ張られて、すぐに隣まで来てしまった。
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