捧げ物・頂き物
□暗闇の先
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何故……こうなってしまったのだろうか……。
それは二時間ぐらいに遡る。
俺は光秀の恋人みたいな、なんちゅーか、そう言う関係だ。
でも最近光秀は戦いに出ていってばっかだ。
疲れてないのかな……。
もともと細いのに、更に細くなってる気がする。
『大丈夫かなぁ。』
それからだ。
事が起きたのは。
「曲者ぉぉっ!!曲者だぁぁっ!!」
『えっ!?曲者!?』
俺が部屋から出ようとした瞬間、
スパンッ!!と、音を立てて襖が開いた。全身真っ黒。
まさかっ!!
「夏流殿とお見受けする。」
『忍びか!何処の───』
「失敬」
ドンッ……
『うっ……。』
俺は頭に鈍い痛みを感じながら気絶した。
そして今現在。
牢に入れられ、手足を鎖で縛られている。
くっそぉ……。
もっと慎重になるべきだった…。
俺を捕えろと命じたのは、光秀関連だろう。
俺を知ってるってことはそれしかありえない。
「目覚めたか。」
『誰だあんた。』
「知らぬはずであろう。私は光秀に使えていた者だ。」
『へぇー。』
「私はね、あの人の考えがよく分からない。」
それは俺もだよ。
「私の部下を何人も殺した。」
『役立たずだったからだろ?』
「っ!!貴様っ!!」
パシンッ!!
っ!!いってぇぇ……。
このやろっ!!
そう思いながら男を睨み付けたら、まじまじと見てきた。
「ほぉ。お前、よい顔をしているな。」
『……。』
「お前、人身売買したら高値でつくだろうなぁ。」
『っ……。』
やめろ……。そんな目で俺を見るな!!近寄るんじゃねぇ!!触るな!!
光秀っ!!
助け─────
「夏流っ!」
「なっ!!」
『光秀ぇぇっ!!』
「どういう事でしょうか?」
「あ……いやっ……。」
「夏流。目を伏せなさい。」
『あ、うん。』
俺は静かに目を閉じる。
すると、
「ひぃぃぃっ!!おっお助けぇぇっ!!」
ザシュッグサッ
と、生々しい音が聞こえた。わ、忘れよう……。
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