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□研ぎ澄まされた世界
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連れて来られた一室は、異様な光景だった。
ガラス張りの部屋の中で、首輪を着け、脚を鎖で繋がれた女達がにこやかに手を振り、甘い声を上げる。
化粧品と香水の匂いに胸やけがする。
「可愛い子が多いでしょう。」
店主らしき男が得意げに笑う。
もう一度部屋を見渡せば一人、床に座る女を見付けた。
他の女とは違い媚びを売る様子は無く、ただ天井を見つめている。
「あの子、愛想は無いけどウチの目玉商品だよ。」
軽く相槌をする。
気に入ったと思い込んだ店主が部屋に入り、女の脚の鎖を外す。
立ち上がる女はこの空間以上に異様な雰囲気を持っていた。