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□バッドネイバー
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布越しに触れる指に、私はいつも戸惑うのです。


稀に、本当に稀に。
オヤスミのキスから時間が過ぎて、いつもなら夢の世界。
寝沈む前に訪れる行為、それなのに。
重い瞼が沈む前、彼の指が私に触れた。
偶然かもしれない。
でも偶然ではない事を知っている。
起きてはいけない。
気付いてはいけない。
私が、そうさせる。
彼の指先は私に滑る。
脚の内側、粟立つ肌。
腰から子宮に刺激が走る。吐息を堪える私の唇。
微かに漏れる空気を見付けて、彼が静かに私を諭す。

「寝て。」


下着まで到達した指先はただ、布に触れるだけ。
彼は楽しんでいる。
苦しくなって、辛くなって。
このままなら、いっそ起こされるほうがいい。
でも彼はそうはしない。
彼の意図はわからないけれど、きっと遊んでいるだけ。
彼の気が済むまで、今日も私は堪えるだけ。








バッドネイバー

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