葉月の夢。

□8月10日
1ページ/2ページ

「ほれ、狒々様大好きにゃあ、じゃ!早ぅ言わんか!」


「…だって。」


頬を赤らめた姫が、儂の膝の上で俯く。


化猫屋の座敷で、店の娘に借りた偽物の猫耳と尻尾をつけた姫に、胸がきゅんきゅんした。


「何故、こんなのつけなくてはいけないのですか…」


「昨日、何でも言うこと聞くと約束したじゃろぉ?」


「………うぅ」


猫耳を生やして恥じらう姫は、本当に愛らしい。


さわさわと腰を撫でると、びくんと身体を跳ねさせた。


「………」


暫く俯いていた姫が、そっと顔を上げる。


「………狒々様、大好き…にゃぁ…」


頬を染めて上目遣いで言う姫に、思わず唇を寄せる。


「姫…可愛いのぅ…」


「…もぉ、恥ずかしいです!」


姫は、そう叫んで酒を煽る。


「おぃおぃ、飲み過ぎんなよぉ?」


手酌でどんどん酒を煽る姫が、少し心配になった。



「…にゃぁ…ひひしゃま、だーいしゅきにゃー」


いつの間にかべろんべろんに酔っ払った姫が、絡んでくる。


「おぅ、儂も好きじゃぞぉ」


「ひひしゃまーちゅーしゅるにゃー」


言ったと同時に、儂に噛みつくように口吸いする姫。


その姫の頭をしっかり固定して舌をねじ込むと、姫は驚いたのか唇を離そうと暴れ出した。


「んっ…んー!」


とんとん、と胸を叩かれ、仕方なく唇を放すと、欲情した姫の瞳と目が合う。


「…ひひしゃ、」


姫の言葉を遮るように、再び姫の唇に吸い付いた。


化猫屋の座敷だということも忘れ、唇を合わせたまま姫を押し倒す。


「姫…ちゃんと、にゃあと鳴けよォ?」


耳元で囁くと、姫はびくん、と身体を震わせた。





→おまけ&つぶやき。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ