短い御話

□睡眠王子の初恋
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それから俺は

一日のサボりのうち少しずつ少しずつ

屋上へと足を運ぶようになった。

自分でも葉月と過ごす時間が何故かとても楽しい時間になっている。



それなのに胸が締め付けられるような感じは

何だろう。



最近の俺は変だ。



―屋上―


『藤君は最近よく笑うよね』

「そうか?」

『うん。しかも明るくなった!』

全然自分ではわからなかった。

「……葉月が一番俺のことわかってるのかもな」

『………そうだったら………のに』

「?…何て?」

『だ…から………だったら…いい…の…に』

「どうした?……って何だ。寝ただけかよ…」


こうして寝顔を見てると

すごくくすぐったいような気持ちになる。


そうしてるうちに

だんだん自分も眠くなってきていつのまにか

寝てしまった。


夢の中でか?小さく聞こえてくる

葉月の声。


『藤君……私……だよ』


なんだ?よく聞き取れない。


「なんだって?」


つい聞き返してしまった。と同時に


寝言を言ったことに気づき目が覚めた。

「……なんだ夢か。」

隣で寝ている葉月を見て

少しほっとした。



寝言なんて恥ずかしい…。



それにしてもさきのアイツの言おうとしてた事って何だったんだ?

気になって仕方がない。

そんなことを考えていたら

葉月の目が覚めた。



思い切って聞いてみようかと思ったけど

もしそれが夢だったら

恥ずかしいから聞かなかった。
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