短い御話

□睡眠王子の初恋
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次の授業は音楽だ。

先週出たから今日はサボろう。



そう思い向かう先はもちろん保健室なのだが

今日に限ってあのハデス先生が出張で

保健室が閉まっていたので

仕方なく漫画をもって屋上へ向かった。



すると先客が一人。

すやすや寝息を立てて寝る女子は


クラスメイトの葉月だった。



何を思ってか俺は

葉月の隣に寝転んでマンガを

読み始めた。

『―………っん?』


やば。起きた。



寝ぼけ眼で俺を見て

現状を確認したのか葉月は目を丸くして俺を見た。


『っえぇ!?藤君!!!』


「悪いかよ」

『いつも保健室にいたからビックリして…』


「まぁな」

まじまじと俺の顔を見る葉月に

少し落ち着きがなくなる。


あまり見ないでほしい。

「そんな見られると落ち着かない」

『あ、ごめん!……すごくキレイだなって思って…』

「何が?」


『もちろん顔もだけど髪が』


「そうか?お前の髪のほうがキレイだろ」


何気なく言った一言に彼女は顔が真っ赤になってしまった。


…なんだか俺まで恥ずかしくなってきた。

しばらく他愛もない話をしながら

昼寝をしてたら

授業が終わるチャイムが鳴った。


『あっ!私そろそろ戻らないと……じゃあ、

またここで会えたら色々話そうね!』

「っ!…あぁ。」

笑顔を浮かべて屋上を出た葉月。


少し隣が寂しく感じるのは


気のせいだろうか。
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